前回ダイビング計画の参考にするために1分間当たりの水面での空気消費量について計算していきました。
これをSAC率(surface air consumption)といいます。
目標
今回はこのSAC率を使用してより正確な空気消費量を計算していきましょう。
この記事の目次
前回のおさらい
使用した空気量【Bar】 × シリンダー容量【ℓ】 ÷ 絶対圧(平均水深【m】/10+1) ÷ 潜水時間【分】
前回との違い
前回はダイビング後のログを使用して空気消費量を計算しました。
この方法はダイビング中、特に意識すること無くおおよその消費量を計算出来るものでした。
1回のダイビングを無駄にせず、誰にでも測定することが可能です。
しかしダイビング中も日常生活と同様に運動しているとき(泳いでいるとき)と止まっているとき(休憩、安全停止等)があり、その時々で呼吸量が変わってきます。
ログを使用してSAC率を計算すると深度や運動量が変化するため少し不安定なデータになってしまいます。
今回はより正確に安定した測定を行うために、運動中と停止中に分けて空気消費量を調べ、SAC率を求めていきます。
又、前回と違い水深に依るバラツキをなくすために同一水深を保ち行います。
より正確なSAC率を求めることができますが、SAC率を求める為に1ダイブをする、同一水深を保って一定時間泳ぐ・止まることが必要になってきます。
実際に計算してみよう
今回は一つの例を挙げて計算していきます。
条件
水深20mを保って測定する・活動時の測定を5分実施・停止時の測定を5分実施
活動時の測定
水深20mを保ち、5分間普通にダイビングする速度で泳ぐ。
そのときの空気消費量は10Lシリンダーで40BARであった。
計算式を使用して計算すると40×10÷3÷5=26.66・・・
測定者が活動時、1分間に使用する空気量は水面で26.7Lとなる。
停止時の測定
水深20mを保ち、5分間ホバリングを行い測定をする。
そのときの空気消費量は10Lシリンダーで25BARであった。
同様に計算すると25×10÷3÷5=16.66・・・
測定者が停止時、1分間に使用する空気量は水面で16.7Lとなる。
以上2つのSAC率を使用して潜水計画を立ててみます。
潜水計画
水深30mまで潜降し15分のダイビング、5mまで浮上し3分間安全停止を行いエキジットする。
30mの絶対圧は4ATAです。
そのため活動時の空気消費量は26.7×4×15=1602L
これに加え水深30mより9m/minで浮上すると水面まで浮上するのに約3分半掛ります。
平均水深の15mの絶対圧は2.5ATAなので水面まで浮上する時の空気消費量は26.7×2.5×3.5=233.6(234)L
5mでの絶対圧は1.5ATA、安全停止中の空気消費量は16.7×1.5×3=75L
このダイビングで使用する空気量は
1602+234+75=1911L となります。
10Lシリンダーでダイビングを行う場合、10L×(190~200BAR)=1900~2000Lの空気しか無いため非常に危険なダイビングになってしまいます。
なのでこの計画でダイビングをするなら12Lシリンダー(約2400L)か14Lシリンダー(約2800L)が必要になると考えます。
終わりに
このように自分の空気消費量を知ることは安全なダイビング計画を立てる為の一つの基準になります。
しかしこのSAC率はあくまで目安でしかありません。
その日の体調やダイビングポイント、ダイビング頻度等によってストレスを受け、大幅に空気消費量が多くなる可能性もあります。
小さなストレス・トラブルの積み重ねで重大な事故に繋がります。
常日頃から控えめなダイビングを心掛けましょう。
これを読んで気になった方は是非測定をしてみてください。
冒頭でも触れましたがこの方法は少しの時間とスキルが必要になります。
難しいと思う方は前回の方法でも簡単な測定が出来るので試してみてください。
それではどこかの海でお会いしましょう!
gucchiでした。