初心者ダイバーが器材を購入するときは高価格で高性能なモノを買うべきである。
それがダイビングショップ、延いてはダイビング業界全体の繁栄に繋がる。
そういった殊勝な心がけも悪くありませんが、初心者にとって高価格な器材を購入することはリスクがありますよね。
ダイビングを続けない可能性があったり、器材代の元が取れなかったり時間が掛かったり等。
これについては前回の記事で触れました。
それでは格安で売られているお買い得器材やセット売りされて安くなっている器材を買った方がいいのか?と言われるとそれはおすすめしかねます。
今回はその理由について解説していきます。
今回の記事の対象者はこちら↓↓↓
・器材選びに悩んでいる方
・初めての器材購入に安価品を検討してい方
この記事の目次
ヘドニック・トレッドミルについて
まず器材購入の話をする前に余談を一つ。
皆さんは「ヘドニック・トレッドミル」と言う言葉をご存じでしょうか?
翻訳すると「快楽のランニングマシン」と少し物騒なもの。
作用としては脳の中にある側坐核がドーパミンにより刺激され快楽や幸福感が満たされます。
「宝くじに当たって嬉しい!」「年収上がって豊かになったYO!!」などの感覚ですね。
しかしこの快楽や幸福感ですが、鈍化・馴化していきます。
これが「快楽適応」とも言われ、最初は幸せだったモノが普通になってしまったり、さらなる刺激を求めてしまう原因になります。
先ほどの例で言うと・・・
「昔宝くじ当たったけど、今はそれほど幸せじゃないなぁ」
「給料上がったけど生活が豊かにならない!もっと金!もっと金!」
と言うように、幸せを感じなくなったり、より良い生活ベースを求めてしまいます。
幸福を求めて止まれなくなる、それが「ランニングマシン」という比喩の元なのでしょう。
これに似たものが「行動嗜癖(こうどうしへき)」による薬物やギャンブル依存だったりするようです。
松本俊彦 行動嗜癖 脳科学辞典 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/行動嗜癖
格安と言うだけで器材を買ってはいけない理由
それでは本題に入ります。
何故先ほど「ヘドニック・トレッドミル」の話をしたかと言うと、これが「モノを買う」時にも当てはまるからです。
高い服を買ったり、ブランド物のバッグを買ったりしたとき、最初はすごく嬉しいと思います。
しかし物が増えていく度にその嬉しさは鈍化し、物足りなくなって行きます。
最後には部屋にあふれかえる高級品・・・何か満たされないなぁ。
この様なことが起こり得ます。
同じようにダイビング器材で考えると・・・
「格安で器材を買えた、嬉しい!」
「んー、何か飽きてきた。新しい物を買おう」
「新しい器材買った、ウレシイナ・・・?」
そんなに嬉しくなくなる可能性があるのです。
大した理由もなく器材を買うと、嬉しいと言う気持ちが鈍化しその後に新しい物を買っても最初以上の満足感を得られません。
当然器材は否応なしに増えていき、部屋であったり倉庫であったりを圧迫します。
買うんじゃなかったなぁと言う後悔がダイビングをすること自体にすり替わり、ダイビングをする必要すら感じなくなることもあるでしょう。
これが格安というだけで器材を買ってはいけない理由になります。
ヘドニック・トレッドミルの対策と器材の購入方法
「ヘドニック・トレッドミル」の対策にはセンチメンタルな経験をすることが対策になるといわれています。
とは言え器材選びで感傷的になったり、哀愁を漂わせたりは難しいです。
ならどうするか?
しっかり悩んでしっかり選ぶ経験をすることです。
モノや金に関しての幸福感を鈍化させる「ヘドニック・トレッドミル」は新しい経験には作用しません。
「モノを買う」という経験だけでなく、
「○○だからこれが良い!色はこれ!」
「色々なフィン試して疲れた、けどようやく自分に合うモノに巡り会えた」
こういった選んだ理由を「意識する」、多くのモノから「選び出す経験」と言うのは長いこと幸福な記憶を維持してくれます。
これが愛着に繋がり、ダイビングに行く動機付けにも繋がります。
余談ですが、私自身の体験で言うと最初はセットで売られ、値引きされた軽器材を購入しました。
マスクにしてもフィンにしても名前すら覚えていません。
その後に現在の器材に至るのですがこの器材は色から見た目、機能などしっかり選びました、しっかり満足しています。
しかしその器材に愛着がありすぎて最初の出費を後悔しています。
最初からしっかり選んでいたらそれこそ出費を減らせました。
まとめ
・器材を選ぶときは値引き、格安を理由にしない
・器材を選ぶ理由を意識する
・選ぶ過程(経験)を楽しむ
もちろん選んだ結果、安価で購入できるならそれに超したことはありませんよ!
それでは!