ダイビングポイントはエントリー場所からなだらかに水深20メートルまで落ちその後は同水深が続く砂場。
狙いの生物を中々見つけられず20分が経過しようやく発見、写真を撮り引き返すも残圧が50bar程しかないことに気づくAさん。
エキジットポイントに向かうも減少する空気に恐怖を抱き、徐々に深度を浅くし泳ぐことに。
残圧計が10barを切りついにパニックに陥ったAさんは咄嗟に水面へ浮上を開始。
しかし慣れないドライスーツのせいもあり浮力コントロールが出来ずに急浮上をしてしまう。
さらに急浮上に抵抗しようと、側に漂っていた漁業用の仕掛け綱を藁をもつかむ思いで握った際に綱についていた貝類で手を切創。
水面を泳ぎエキジットポイントへ向かいダイビングを終了した。
- 残圧の管理管理を疎かにした
- ターンプレッシャーを考えていなかった
- 少ない残圧で水中を泳ぎ続けた
- 慣れないスーツを着ていた
- Bさんのフォローも足りなかった
一番大きな原因は残圧管理と潜水計画の不備だと考えます。
残圧を定時定点で確認していれば残圧が少なくなる前に気づけましたし、潜水計画をしっかりと行っていれば余裕を持って引き返せていたはずです。
またAさんはダイビング経験も浅く、少ない残圧で泳ぎ続けることはストレスだったと思います。
浮力のコントロールが出来なくなったのは買ったばかりで慣れていないドライスーツでの吹上げが原因です。
バディのBさんもAさんの残圧を確認しておらず、Aさんの行動についてのアクションも特に行っていません。
- 定時定点の残圧確認
- 余裕を持った潜水計画
- ダイビングレベルに見合ったアクション
- ドライスーツに関する知識・技能の向上
- バディ行動の徹底
自分がどのタイミングで残圧確認をするかを決めておきましょう。
また自分だけでなくバディの残圧確認も忘れずに。自分よりバディの方が空気の消費量が多い場合特に注意が必要になります。
余裕を持った(控えめな)潜水計画を立てることも大事ですが、それを確実に実行することも大切です。
今回のようにお目当ての生物が見つからないからといって無理な行動を取ってはいけません。
このAさんはダイビング経験も浅く残圧が少くなった時のストレスが大きいかもしれないと考え、Bさんは水中移動では無くすぐに水面移動をするように促すべきだったのかも知れません。
またこういった普段と違う状況が発生した場合は、いつも以上に手の届く距離でバディとのコミュニケーションを取るべきでした。
ドライスーツSP等の継続教育を受けドライスーツへの理解と使い方を深めておいた方が良かったのかも知れません。
一つ一つのトラブルは小さな物でも積み重なれば重大な事故に繋がる恐れがあります。
小さなトラブルを放置せずに潰していくことが重要です。
今回Aさんは二次トラブルで手の切創をしてしまいました。普段からグローブも着装し怪我を防止しましょう。